チェーン・スポーキング

カルチャーずるずるモノローグ

備忘録 2018

 

せっかく真夜中の使い方を覚えた一年だったので

例年とは少し項目を変え、音楽に寄せたうえで、自分なりの「2018年」を振り返る。

 

【飛んだライブ:3選】

音楽関連のイベント、大小数えてトータル100件以上通っていたことが発覚。

財布のことは考えないようにしている。Leroy Hutsonのビルボードライブや、GORILLAZの幕張ワンマン、リキッドのNils Frahmやkaytranadaも良かった。

 

#FKJ @TAICOCLUB '18(こだまの森)

FKJの世界観を引き出すクールなVJと、心地よくフロアを横に揺らすメロウサウンド。視覚と聴覚の両方を刺激してくるあたり、「TAICOCLUB」としての最期にふさわしいステージだった(今年も別名義でやるらしいケド)。深夜、極寒のなかで聴いたサックスソロがずっと耳に残っている。

 

#The XX「I See You Japan Tour」@幕張メッセ

2017年のフジロック以上に美しかった。ロミー・マドリー・クロフトとオリヴァー・シムのハーモニーにはクラクラしたし、ジェイミー・スミスのDJも鬼気迫るものがあった。幕張のようなデカい空間で彼らのパフォーマンスを観れて、すごく贅沢だったなと。

O.AのD.A.Nも恐らく史上最大規模のステージだったろうに、堂々としていて素晴らしかった。D.A.NとThe XX、すごく良い組み合わせだよなあとつくづく。

 

#PREP「PREP JAPAN SHOW 2018」@代官山UNIT

彼らがその前日に出ていた韓国のフェスでは「Cheapest Flight」の大合唱が起きたと聞いていたが、近辺で歌ってる人がおらず、一人で勝手に歌ってた。レベルの高いパフォーマンスが観れただけに、ちょっと悔しい(次のツアーで日本は経路から外されちゃったし、、)。個人的には「ここまで楽しいLIVEがあるものか!」と終始キャッキャしており、まあ〜踊り狂って大満足のライブだった。ちなみに終演後にサインをもらったアナログ盤は、ずっと家に飾っている。家宝。

 

 

【泡を吹いたアルバム:3選】

今年、難しいんだよナ…。もっと選んでいいなら、中村佳穂『AINOU』とMimeの『Capricious』は入れてる。折坂悠太然り、一時代始まったような感じがしたから。サニーデイ『the CITY』も良かった。トム・ミッシュも。HONNEも。MNEKも。一番悩んだ3選。

 

#『平成』折坂悠太

悩みに悩んで結局、邦楽は『平成』がベスト盤だったんじゃないかと。飄々とした「坂道」から豹変する「逢引」の流れがもう最高で。何より、久々にジャズ×和モノの表現に秀でた人に出会えたことが嬉しい。

それにしても、2018年は弾き語りが豊作だ。

 

#『BALLADS1』Joji

文句無しに良い。1曲目がキツい音割れをしてて、「チープな感じだなあ」とナメてかかっていた。が、「SLOW DANCING IN THE DARK」や「TEST DRIVE」など、聴けば聴くほどめちゃくちゃ繊細な音のレイヤーを用意してて気持ちいい。そして3~4周くらい聴き返すと、気づいたら1曲目のノイズが気持ちよくなる。

ちなみにYoutubeで珍曲「セックス大好き」が物議を醸すPINK GUYとJojiは同一人物らしい。ダイノジ大谷さんと音楽ライター・柴さんのトークショー(NEWTOWN)で発覚したのだが、2018年で一番ショックだった。

 

 #『Be Well World』LEO37+SOSS

2017年12月末リリースなんだけど、聴いたのは2018年だからいいか(ていうかこれを紹介しないと気がすまない)と思い、無理やりねじ込んだ。ジャズやファンク、ヒップホップ、レゲエ要素がふんだんに盛り込まれた名盤。ちなみに今年Spotifyで一番聴いたアルバムはtofubeatsの「RUN」だったが、一番聴いた”声”といえば「Be Well World」にも参加するディーバ・9m88(ジョウエムバーバー)の声だった。 アジアが引き続き面白い。

 

【震えた舞台:3選】

観れば観るほど沼が深い。2019年も引き続きハマっていきそう。ロロの「いつ高 vol.5 いつだって窓際でぼくたち」や、池田亮司「concert pieces」も面白かった。範宙遊泳の「#禁じられたた遊び」は女優・油井文寧がすごかった。。

 

#『ベートーヴェン交響曲第5番「運命」全楽章を語る』森下真樹

 MIKIKO振付家)・森山未來(俳優)・石川直樹(写真家)・笠井叡(舞踏家・振付家)が楽章ごとに振り付けを担当、今西泰彦のピアノ伴奏をもとに、ダンサーの森下真樹が踊るという新しい試み。もはや「運命」への抗いというより、ピアニスト・振付家・ダンサーのガチンコバトルを観ているかのようだった。第四楽章に至るまでのカタルシスと解放感よ。

 

#『BOAT』マームとジプシー

ずっと涙がとまらなかった作品はマームとジプシーの「BOAT」。ストーリーが、というよりも言葉(セリフ)の使い方と舞台演出、役者たちの演技の総合的なバランスが美しくてグッときた。テンションが上がってブログにも残している。

 

none67.hatenablog.com

 

#『ツアー』ままごと

 急加速し、一気に張り詰めていくオープニングと、緊張の頂点から少しずつ融解していく空気。そのコントラストを役者全員が共有し、調律が保たれていてすごく心地がよかった。特に女優・小山薫子の演技が素晴らしい。。再演があるなら、もう一回観たい作品。

 

【やられた展示:2選】

オペラシティの企画が肌身に合っていて、珍しく「箱推し」の1年だった。会田誠の「GROUND NO PLAN」や、ダニエル・アーシャムの「アーキテクチャー・アノマリーズ」も面白かったなあ。

 

#PEEKABOO TOMOO GOKITA @東京オペラシティアートギャラリー

 TOWA TEIのジャケットが有名な五木田智央の展示。とにかく作品がデカく、かつ画力が高い! 抽象的に対象を捉えつつも一部分がすごくリアルなところは、フランシス・ベーコンに近しいなと初めて気づく。実物を目にしないと分からないパワーがあるものだと実感。美術館で大判ポスターが欲しいと思ったのは初めてかもしれない。

 

#谷川俊太郎展@東京オペラシティ アートギャラリー

谷川俊太郎さんの言葉が壁という形で実体化し、襲いかかってくるような力強い展示。普段自分が本を通して詩を楽しむときの衝撃が、形となり再現される感覚。言葉を展覧会にするというのもまったくもって面白いのだなとウキウキした。

ちなみに、今年一番感動した読み物は、80行の詩が記された「傘寿を祝う」という手紙型の書物。ナナロク社から発行されている本作、2012年に谷川さんの誕生日会で配られたというレア・グルーヴだ。PREPのサイン盤と同じくらいに重宝する。

 

【エロかった食:3選】

今年もセクシーな飲食店に恵まれ、お陰様で体重が増えた。表参道のそば屋「しろう」や祐天寺「しとらす」、代々木上原の「dish / tokyo gastronomy cafe」もフェロモンがすごかった。

 

#クンビラ @恵比寿

ネパール料理の名店。どれを食べても旨味(UMAMI)が満載。かつ健康になれそうな味がする。依存症の危険もあるので注意したほうがいい。はじめは「香辛料満載かな」と予想していたものの、案外ヨーグルトが効いた優しい味がする。ちなみに絶対にオーダーしてほしいのは、鶏肉がホロッホロに煮込んであるヒマラヤ鍋。これを食べないと帰れないし、絶対帰さない。

 

#シモン @麻布十番

タッカルクッスという薬膳鍋が美味しい韓国料理店。麻布十番らしからぬ内装なのと、価格帯が割と良心的なのもあって、フラッと入れるから嬉しい。クンビラのヒマラヤ鍋と地続きのような見た目だが、とにかく優しい味で、とろとろのじゃがいもともちもちの麺がタマラン。胃が弱いとき、這ってでも行きたくなる。

 

#珈琲美学 @長野県松本

長野のピースフルなフェス・りんご音楽祭にて、朝ごはんを食べるべく来訪。オムレツやトースト、サラダなど100円台の小品メニューがズラッと並んでおり、自分のお腹具合と相談しながらプレートの内容をカスタマイズできる(Ex.トースト+ジャム+オムレツ+サラダ+茹で卵、など)。どれを食べても最終的に「超ハッピー」になれるが、特にオムレツがぷるっぷる。危うく昇天しかけた。

 

【ニヤついた雑誌:2選】

dmagazineを登録したのもあり、いよいよ「紙で読みたいかどうか」という購入の判断基準が明確になってきた。

 

#FREE MAGAZINE「PERSONAL」

代々木上原セレクトショップで見つけた、Hyukohが表紙のフリーマガジン。フォトグラファーに花代、YUAN YAOなどの錚々たるメンツを揃えた、半端なく「エグい」内容。デザインや写真の使い方、スタイリングなど、海外のインディペンデント誌っぽさがある。ていうか、日本にこんなに良い雑誌があったんだなと。久々に読みながらニヤニヤする雑誌だった。

 

#STUDIO VOICE「いまアジアから生まれる音楽」

いつかアジアのクラブを訪れ、現場がどうなってるかを知りたいな〜!(よしんばそこの同世代たちと多国籍なコミュニティを作りてえな〜!)と妄想していたら、先にやられた。やられたというか、一枚も二枚も上手なものを作り出してて悔し死ぬかと思った。各人のインタビューも面白い。

一番オッとなったのはSpotifyのプレイリストによるレコメンド。全部オートマチックに勧めてくれる世の中で、雑誌や選曲のコメントを読みながら、各著名人のプレイリストを聴く体験ってすごく贅沢だなと。ていうか、これCDに付いてくるライナーノーツの追体験でもあるじゃないか。

 

【新しい活動】

文字化するとより分かる、あまりに怒涛だった1年。

 

# SOKUJITSUを始める

8月頃に突如始めた、企画チーム結成〜メディアローンチまでを1日で終わらせるプロジェクト。「一緒に何かを作りたい相手はいっぱいいるんだけど、長期プロジェクトにして毎週拘束するのは申し訳ないしな〜」という悩みと、「色んな人からアイディア盗みたいな〜」という下心から始まった。毎回吐きそうなくらい辛い。ここまでキツいと知ってたら、もっと楽なルールを設定していた。でも楽しい。楽しい地獄である。これからも引き続き、面白い人たちをナンパしていこうと思う。

 

note.mu

 

#転職する

「手を動かしてメディアを作り、情報を発信する」という作業を通して、何かが吹っ切れた気がした。気づいたら今の会社に誘われており、気づいたら上長に退職の相談をしていた。

なぜか色んな人から「意外」と言われるが、前職の環境は本当に好きだった。せっかく辞めちゃったので、今年はもっと無茶苦茶なことをやっていきたい。

 

#フェスの運営に入る

無茶苦茶なことといえば、本業と並行し、上野の野外ステージで「SHAKE HANDS」というフェスの運営に関わった。主に関わったのはPR/広報の領域。悩むことや反省は多かった。

ただ当日、自分の好きなアーティスト達を前に、オーディエンスが体揺らしてるのを見て「次はどういうのをやりたいかなあ」と。次が楽しみだ。本当に。

 

【総括と今年の目標】

休日を無茶苦茶な使い方をすることが増え、我ながら身を削ったと感じる1年だった。ただ、もっと楽しめる気しかしなくて、せっかくだったら何でも口に入れて、ときにぶっ倒れるくらいまで暴食を続けたい限りである。

今年は「とりあえず食べてみる」を目標に、自分の「管轄」とやらを取っ払う動きをしてみようと思う。それから「書く」だけではない発信手段を積極的に取り入れていきたい。今はイベントの運営に一番興味がある。

 

ちなみに映画は「カメラを止めるな」がダントツだった。そこまで映画をたくさん観れてなかったので、今年は割愛する。悔しい。。