18年9月:風邪に苦しみながらセクシー熟語山手線ゲームをする
[Chain]
つらい。関節が痛い。
嗅覚が奪われて、食が進まない。
何も食べたくなくて、強いて言えばさっぱりしたものを喉に通したい。
自然と選ぶのは、ゼリーとか果物とかプリンとかの類になる。空腹にもならなければ満腹にもならないものだけを、ここ数日食べている。
熱が出ると生憎「寝る」以外の治療法が無く、起きては寝て、寝ては起きての繰り返しになる。
そうなると、やることといえば寝ながら出来ることーー例えばTwitterとかFacebookとかYoutubeとか、スマホで完結し、かつ頭を使わないものになってくる。ひたすら「都内で3ポンドステーキが食べられる店」を探しまくったり、ラーメンYoutuberのチャンネルを初回から飛ばし飛ばしで観たりしていた。
ただ、人間何も考えられない環境に置かれると、だんだん頭が悪くなってくるようで、思考のリズムみたいなものが、だんだん単調になる。
通常時なら変拍子くらいは打てるものが、ここまでHPが下がるとなんかもう、かろうじて手拍子だ。ビートを刻めない。裏打ちができない。
そこで始まったのが、掲題のゲームである。
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ことの発端といえば、自分の熱を計った時だった。
微熱である。ここでふと思った。
「微熱ってどこからが微熱なんだろう」。
というのも、自分は体温が異常に低く、平均35度台、たまに34度台も記録するほどの「アツくなれない人」なのだ。
そこからすると37度って結構高いのだ。これを微熱として片付けるのがもったいなくなってきた。
Google先生に聞いてみたところ、どうも結論、上記の場合でも「微熱」らしい。平均体温に関わらず、37度台が微熱の定義、とのこと。
ふと思う。
微熱って、めちゃくちゃエロい響きだな、と。
微熱という言葉のもつ気だるさたるや。
健康と病気のちょうど真ん中で、身体に不自由は無いのに熱だけを帯びているとは。エロい。エロいぞ。MOONCHILDが題材にしているくらいだ。
よく人に惚れた時の表現に「熱」は出てくる。興奮した時に帯びる熱が恋愛感情と直結してるのか、見つめる時は「熱い視線」だし、口づけも「熱いキス」になるし、触れられれば「(熱で)溶ける」。恋愛は温度感高めの行為なのだなと実感する。
逆に、この恋愛感情に近しいもので、ギリギリ恋愛に関連しない熟語をピックアップすれば、それなりにセクシーになるのではなかろうか。
その中でも、石田衣良先生もW村上先生も取り上げていないような「マイナーセクシー」な熟語を選びだしたら、ノーベルやんちゃで賞(スチャダラパー)も確実である。
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「夢遊」
ウキウキというか、ふよふよしてる気分である。
「焦燥」
焦がれてるし、焦るし。
「狼狽」
「けものへん」が二つ並んでるあたりが。
「咀嚼」
ちょっとフェチっぽいところが。
「融解」
物体が溶ける温度が融点で、融解はモノが熱で溶けること。ちょっとダイレクトすぎるか。
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ちょっとずつ近いところから遠いところへ離れていくと、恋愛というよりも趣向の域に至るのが面白い。ただ、悲しいのはこの行為から、次の結論に至るまでのHPが残っていないことだ。
自分がそこまで明るい恋愛をしてこなかったような気がしてきて、これ以上ネットの海に自分の恋愛癖を晒すのは止めようと、微熱に浮かされながら、そのままスマホをほっぽりだした。