17年11月:ウィッグが欲しい
社会人になってから、頭の後ろを刈り上げるようになった。
男性性になりたいわけではない。
むしろ女として見られたい。
だから刈ってやった。
最近はバリカンも6ミリだ。
あえて後ろを刈り上げることによって、男性性にも女性性にもなれるような、可能性が広がった。
性別を与える前のアバターアイコンみたいなもので、どちらにでもなれる。
合コンの某テクではないが、手首、足首、首を見せた時の自信が生まれる。
もはや三首がアクセサリーになる、魔法の髪型である。
菅原小春というダンサーがいる。
角度を変えれば男性に見え、角度をまた変えると女性に見える、不思議なひとだ。ただ、身体のどこかで女性らしさを残す工夫をするらしく、特に首元に意識を集めるらしい。
菅原小春が髪を最初に刈ったきっかけだった気がする。
とてもセクシーだ。ダイナミックな動きをする時の彼女が好きだ。個性美だ。
どうしてもなってみたかった。限界だった。だから、入社前日にやってやった。
バババババっと気づいたらやっていた。刈っていた。
鏡を見て思う。
自分の首元には自信がある。
というより、身体の凹凸がない以上、そのあたりでしかエロさをアピールできない。もはや刈り上げは麻薬のようなものだ。エロくなりたい→刈りたい→エロくなりたいのネガティブスパイラルである。
いっそウィッグが欲しい。
自分が髪を伸ばすことで、女性性がどこまで振り切れるのかを見たい。
切り続けないといけないとわかりながら、伸ばしたい。でも伸ばさない。
伸ばす気は今のところない。
自分がウィッグになったら、メンズライクなジーパンも履ける。今それをしたらただの男になるのに。
とはいえ相場が8000円くらいなので、ドンキに手を出そうか、貯金を睨みながら考えている。