16年12月:海外アーティストのライブにただただ行けない
[CHAIN]
時が経つのは早いもので、もう年末である。
6月あたりまでは「会社に入ったら最後、人間じゃなくなってしまうのでは」と
よからぬ思い込みを抱えながら生きていた。
オフの日こそが「人間活動」であり、生きている意味だと感じていた。
ただ、案外仕事は楽しいし、余裕もある。
オンの日でも十分に人間を活動させている感覚はもっている。
とはいえ、カルチャーが無くては平日に息すらできない。
ずるずる鑑賞することは難しく、
思ったよりもいろんな場所へ足を運べていないし、
みすみす自分からチャンスを逃すこともある。
[MUSIC: The XX]
仕事にも慣れてきて、最近は早く帰ってのんびりする余裕も出てきた。
ただ何が原因かは知らないが、調子にのって平日ライブのチケットを取った時に限って、
仕事の用事が入ってきたり、思うようにいかなくなる呪いにかかっている。
The xx - On Hold (Official Video)
The XXが来日するというものだから、
嬉々として抽選に応募した。
打ち込みの使い方が上手くて、すごくクールなバンドである。
Jamie XXがエディットした「Sunset」もめちゃくちゃかっこいい。
LINE@が開設されたり、来年1月に新譜リリース予定だったりと、
これからの活動にワクワクしていた。だからチケットに当たった時はすごくハッピーな気分になった。
その日は別に仕事をサボっていたわけでもなく、ペースとしても遅くはなかった。
それなのに、急にやらなきゃいけないことを思い出してしまい、
気づいたらタクシーを使っても間に合わない時間になっていた。
重い仕事に気づいたのは幸いだったものの
なんで日中に気づかなかったのだと後悔してやまない。
[MUSIC: Alabama Shakes]
もちろん、上のような失敗は、自分がしっかりしてさえいれば避けられた。
ただ社会人というもの、突然避けられない用事が入ってくることもある。
Alabama Shakesの来日を10月からずっと待ち望んでいたのに、
ほんの一瞬でチャンスが吹き飛んでしまった。
Alabama Shakes - Don't Wanna Fight (Official Audio)
おじちゃんみたいなおばちゃんがボーカルを務めるバンドである。
アルバム『Sound&Color』がリリースされた時、
なんでこんなにウズウズするんだろうとばかりに感動してしまった。
生きる化石を発見したような衝撃だった。
今回の来日は、万博の「月の石」を素手で触れるチャンスのようなものだった。
予定もしっかり確保したし、チケットも用意できていた。
でも、世の中には不可抗力というものがある。
ある日会社のデスクでスケジュールを開いたら、
文字面からして避けられないような会社の用事がどっかと腰を据えていた。
もはや「Alabama ライブ」が押しのけられて、縦読みになっていた。
それくらいデカくて、太刀打ちできなかった。
さすがに泣きたくなって、PCを閉じ、タバコを吸いに行ったのは言うまでもない。
[MUSIC:hyukoh]
あとは、チャンスも見逃して痛い目を見ることもあった。
hyukoh(ヒョゴ)という韓国のバンドを知ったのは、
つい先月半ば頃の話だった。
[MV] hyukoh(혁오) _ Comes And Goes(와리가리)
the sign magazineのこの記事で知った。
「どっちがアジア1か云々」なんて日本と比較することはさておき、
アシッドジャズやソウルを踏襲したバンドが韓国にも存在していることが面白くて、
自然と彼らの過去のリリースを追っていた。
これまで韓国の音楽シーンに目を向けたことがなかったこともあって、すごく興味を持った。韓国インディーを漁るきっかけにもなったバンドである。
ただ、その記事を通して存在を知った1週間後、
誰かのInstagramから、直近で彼らが来日していたことを知る。
しかも予定が調整できる日に渋谷でライブ…。
全てはApple Musicからしか音楽を知ろうとしなかったことへの罰である。
早くストリーミングサービスからチケット購入ができるような世の中になればいいのに。
[CHAIN]
別に洋楽が嫌いなわけでもないのに、
海外アーティストにはとことんツイていない。
だいたいサマソニの前はお腹が痛くなったり急用が入ったりする。
何が悪いといえば自分のスケジュール調整問題なんだろうけれど、
あまりに洋楽の時は、トラップが多いように思う。
なんでかは知らないが、そういうもんなのだと思うようにした。
クレジットカードの明細をぼんやり眺めて、
このお金がアーティストの懐に入るのだということだけを救いとしつつ
「次誰かが来日する時は、当日券で行こう」と
社会人としての「人間活動」スキルを上げることを静かに誓う。